⚡ 計画更新:現地写真の追加調査により、問題の本質が「広域地下水」ではなく「詰まった排水口の上流に滞留する湿潤帯」と判明。工事内容を大幅に修正。
01
目的と経緯
問題:1階がすべてカビる。除湿機も換気も効かない。
原因:山+池の水が崖面から滲出し、家の基礎周りを常時湿らせている。
発見:既存排水口が土砂で完全に閉塞。本来排出されるべき水が崖面に滞留。
家を直すな。
詰まった排水を開けろ。
まず既存インフラの復旧。新設はその後。
計画の変遷:
当初:区道全線に深い暗渠を新設する計画
↓ 現地写真の追加調査
更新:排水口復旧+崖面横溝+必要に応じ暗渠補強の3段階に修正
02
現地の構造(広域)

山あいの谷底。背後に山と池、前面に田んぼ4面。

石垣の上が山・池。家は石垣直下。前方の田んぼは家より低い。
平面図(施工対象)
黄色 他人の山青 区道赤 既存排水溝緑 暗渠設置候補
断面(実測値)
湿潤帯の位置
区道と基礎のちょうど中間。区道から下に150cm。
03
現地の構造(崖面・詳細)
俯瞰:崖と排水溝

2階から撮影。左が崖面(シダ・草が密生)、右が屋根・室外機。崖と家の間は50cm〜1m程度。
崖面の湿潤帯
崖面の下半分にシダ・苔が密生。上部は枯れ草で乾燥。境界線=主水脈の滲出帯。
シダ密生帯
シダが崖面に張り付いて繁茂。根元は常時湿潤。「水が出ている高さ」の生物学的指標。
排水口(土砂で閉塞)

コンクリート擁壁の排水口周辺。シダと土砂が詰まり、排水機能を完全に喪失。これが問題の直接原因。
決定的発見:苔の上端、シダの分布上限、そして計測された「基礎+150cm」がすべて一致。この高さが主水脈の滲出帯。
04
水の流れと問題の本質
05
3フェーズ施工計画
P1フェーズ1:排水口復旧(最優先)
閉塞した排水口の土砂・根・落葉を完全除去。上流の水みちを50〜100cm辿って露出。通水を確認する。
P2フェーズ2:湿潤帯横溝
崖面の湿潤帯「下端〜中央やや下」に沿って浅い横溝を入れる。深さ10〜20cm、幅10〜20cm。面の水を線に集め、排水口へ導く。
P3フェーズ3:暗渠補強(必要な場合のみ)
P1+P2で不足なら、問題区間に短い集水管を設置。幅20〜30cm、深さ20〜40cm。砕石+短い有孔管で排水口へ接続。
06
施工仕様
P1排水口復旧
P2崖面横溝
P3暗渠補強
07
資材リスト
排水口復旧・横溝
剣先スコップ掘削×4
鎌・鉈草刈り×3
バール石・根×2
一輪車搬出×2
ホース通水テスト×1
バケツ水量確認×2
補強用(P3)
砕石 20-40mm0.3〜0.5 m³
有孔管 φ100短尺2〜3 m
半割パイプ横溝保護3〜5 m
08
人員配置と班編成
A
草刈り・開拓班 3人
崖面のシダ・草を刈り取り土を露出。排水口周辺を優先。
鎌×2、鉈×1、刈込ばさみ
B
排水口復旧班 2人
排水口の土砂除去。水みち追跡。通水テスト。横溝掘削。
剣先スコップ×2、バール×1、ホース
C
搬出・補強班 2人
草・残土の搬出。必要に応じ砕石・小石で補強。
一輪車×2、角スコップ×2
09
4日間工程表
08:30
★ A班:崖面の草刈り(排水口周辺を最優先)
10:00
★ P2通水テスト(横溝→排水口→排水溝)
09a
通水テストの実施方法
目的:排水口の復旧が機能しているか、横溝→排水口→排水溝の流路が成立しているかを確認する。ホースと水だけで行う。
テスト手順
① P1通水テスト 排水口の上流側からホースで水を3〜5分間流す。下流側(排水溝側)で水が出てくるかを確認。
② P2通水テスト 横溝の最も遠い端からホースで水を流す。横溝→排水口→排水溝の全経路で流水を確認。
③ 最終通水テスト 崖面の湿潤帯付近にホースで広範囲に散水。横溝が面の水を線に集め、排水口経由で排水溝へ吐出する全プロセスを確認。
Definition of Done
✅ P1完了 上流からホース投入後、2分以内に排水溝側から吐出を目視で確認。流量がホース投入量の半分以上。詰まりによる逆流・溢れがない。
✅ P2完了 横溝端部からの水が5分以内に排水口経由で排水溝から吐出。横溝内に滞留なし。崖面への逆流なし。
✅ 最終完了 崖面散水後10分以内に排水溝側で流水確認。家側への漏水なし。
⚠ 不合格の場合
水が出ない → 管内部の詰まり残り。再除去。
途中で止まる → 勾配不足。溝を再調整。
家側に流れる → 横溝位置が低すぎ or 勾配逆。上方に修正。
記録:各テストで「投入開始時刻」「吐出確認時刻」「流量(多い/少ない/なし)」「家側漏水の有無」を写真とともに記録。
10
失敗パターンと対策
✕ 排水口を見つけられない
草やシダが密生して不明。
→ まず草刈り徹底。擁壁面を露出させれば必ず見つかる
✕ 排水口の奥が詰まっている
管内部に土砂や根が侵入。
→ 棒やホースで突く。最悪は管の入口を拡大
✕ 横溝が崩れる
崖面の土が柔らかい。
→ 半割パイプや小石で底を保護
✕ いきなり深い暗渠を掘る
排水口閉塞だけなら大工事は無駄。
→ まずP1完了し効果確認してからP2・P3
✕ セメントで崖面を塗り固める
水は横や裏に回るだけ。
→ 水を止めるな、流せ
❌ やっても無意味 床下換気だけ/除湿機だけ/内装改善だけ/崖面の防水
11
成功判定チェックリスト
- 排水口から水が流れ出ることを確認
- 横溝に水を入れると排水口方向に流れる
- 雨後に崖面の湿り範囲が縮小
- 家と崖の間の通路が乾燥
- 擁壁の苔上端ラインが下がる(数ヶ月後)
- 1階のカビ発生が減少(数ヶ月後)
詰まった排水を開け、
水が出ている高さで横に集め、
排水口に逃がす。
水を止めるな、流せ。